ウォータールー大学 母校なので宣伝 写真:https://uwaterloo.ca/institute-for-quantum-computing/about
学部時点で北米留学を考えている人向けに、カナダの大学のレベルや特徴について書きたいと思います。カナダ留学に関するネット情報に目を通しましたが、やはり外側からの視点がほとんどで、本場の感覚とはズレているかなあというものが多いです。
自分のプロフィール(2018時点)はこちら。14歳頃にカナダに移住し、ギフテッドプログラムという特進クラスを経て大学に行きました。日本でよく聞くトロント大学やマギル大学からのオファー・奨学金もありましたが、実は一概にそこがトップではないのです。個人の見解なのでバイアスは掛かりますが、上位の学生事情は把握していると思います。「東大よりもランキングが上の〇〇」なんちゃらではなく、実力をつけて世界で戦いたい、そういう人のための情報です。
カナダでも偏差値に似た格付けはありますが、「どの大学」ではなく「どの大学の何学部」かが大きく重視されます。入学の時点で分野を選択するため専攻によって競争率が異なり、同じ大学でも分野によって(入学難易度の意味で)偏差値20以上差があると思います。定員が多いため全体の倍率は名門大学でも3倍未満と易しいですが、その代わり定員200人・倍率15倍というような人気のプログラムがいくつかの大学にあり、競争心の強い生徒は多くがそういう所を目指します(下記参照)
格付けは日本ほど重視されません。専攻を重視する考え故大学全体の格付けはあまり意味無いですし、「最高学府」も存在しません。 ネットで「カナダの最高学府」という言葉を見かけたらスルーしてください。また考えは多様なので、難易度トップの専攻を蹴って別の進路を選ぶというのは日常茶飯事です。
世界ランキングは大学院(研究)の評価なので学部を選ぶ際はほぼ当てになりません(ぶっちゃけ大学院の評価でもそこまで正確ではない)。北米では学部と大学院を違う大学で行くのが普通とされ、ランキングと学部生のレベルは少なくともカナダでは比例しないです。でも高校の時点で研究志望だとはっきり分かっていれば、参考にするのもありです。その場合は分野ごとのランキングが大事です。
カナダでもトップ層はアメリカの大学を目指し、毎年30人(肌感覚)ほどがアメリカのトップ級の大学に行きます。根性のある人は、やはりアメリカトップ級を目指してください。
全ての大学はカバー仕切れませんが、自分で調べたことがあったり、知り合いがいたり、直に分かる範囲で書きたいと思います。
個人的に見ると学部レベルでトップは上記の大学ですが、他にもモントリオール大学、 オタワ大学、マックマスター大学、 アルバータ大学、ビクトリア大学など、ローカルで優秀だったり、大学院が強い大学はあります。また自分はカナダ東部にいたので、別地方の感覚は良く分かっていない可能性はあります。芸術系(音楽・アートなど)の人の事情も全くわかりません。
見てわかるようにそれぞれ強みがあり、一列に順位は決められません。これはポリコレ的な意味ではなく、優秀な人はみんなここに行く、という場所はないのです。日本の受験システムに慣れてしまうと信じにくいかも知れませんが、カナダではそれが普通です。 当然「カナダの東大」というような大学はありません。これはカナダに限らずアメリカでもそうで、ハーバード、MIT、スタンフォード、イェール、その他名門など、第一志望で目指す大学は複数あります。カナダの場合は全体的に競争率が低いですが。
例えば同じコンピューサイエンスでも、起業精神の強いウォータールー大学、研究志望の多いトロント大学、というように特徴があります。西海岸の優秀層は地元のブリティッシュコロンビア大学に残るかもしれません。逆に知名度の低い大学で明らかに優秀な人を見かけることもあります。
自分は興味の幅が広く、トロント大学(理学:経済、電子工学)、マギル大学(理学:物理)、そしてウォータールー大学(ソフトウェア工学、コンピューターサイエンス)と、様々なプログラムからオファーを受けました。その他にクイーンズ大学(ビジネスプログラム)も志望しましたが、他のオファーが先に出たのでエッセイの提出ををサボり、結果落ちました。
最終的にウォータールー大学のソフトウェア工学を選んだものの、その後、理論的な事を学びないと考え、コンピューターサイエンスと数学をダブルで専攻しました。ほぼ同じ分野なので大きな変化はなかったですが…
このように専攻を変えるかもしれませんし、興味分野が定まらないこともあるでしょう。その場合は守備範囲が広めの大学にいくのが無難かも知れません。それ故に周りのレベルが少し低くなるかも知れませんが、大事なのは何を学ぶかです。守備範囲が広い大学で選択の自由度を増やすか、レベルが高い特化したプログラムにいくか。そこは見極めてください。
自分はカナダ国内から受けたので、国際生(特に北米外から受ける生徒)の選考基準は正直よく分かりません。でも国際生の場合、国内生の基準にプラスして「英語力」「新しい国・文化への対応力」「国際色をもたらしてくれる活発生」などを求めてるのではないかと思います。なので、国内生の選考基準を少し。
高校の成績が大事です。競争の激しいプログラムでは課外活動が合格を左右しますが、大抵の学部は成績と少しのプラスαで入れます。
大学や学部によって基準が少し違います。例えば、伝統的なマギル大学は(国内生の場合)成績しか見ません。トロント大学も理学部は成績だけで決めていたと覚えています。逆にクイーンズ大学のコマースプログラムのような所はビジネスで勝てる人格を求めるので、リーダーシップ能力やスポーツ経験を重視します。ウォータールー大学の数理系は数学オリンピックでの活躍を好みますし、工学系はロボコンなどの経験がプラスになります。
アメリカトップの大学と比べれば課外活動への要求は大分低いですが、具体的にあげると
ボランティ活動は課外活動の代名詞にされますが、やりがいのあるプロジェクトを選ぶのが重要です。例えば、ただゴミ拾いをするのは誰にもできます。でもゴミ拾いを楽にする道具を作tたり、ゴミの処理に関して調べたり、工夫すると面白いでしょう。高校の成績に関しては、日本とカナダで採点基準が違うのでなんとも言えませんが、難関プログラムは平均点の最低ラインが90半ばだったり、要求は高いです。
北米の大学は「入るのは簡単だが卒業するのが難しい」という決まり文句がありますが、実際、大学そのものはほとんどの人が卒業できます。 でも成績がボロボロだったり、トップの専攻から落ちるケースは結構あります。特にトロント大学は、学業のレベルが高い割に入学基準は低いので、落第者も少し多いという話を聞きます。
優秀層は卒業できるかは全く心配しません。良いGPAを取り、ダブルメジャーをとったり、サークルでリーダーポジションを勤めたり、自主プロジェクトをしたり、研究室で働いたり、トップのインターンを取ったりです。
結局大学に入ってからが大事です。日本でも優秀な人はこれを分かっているでしょうし、こっちではその考えがもっと一般的です。知名度や見栄えではなく、自分を伸ばせる場所を選んでください。 実力のある人間は実力で判断します。
BRAND NEW WAYというサイトにも各大学に関する情報が載っています。大学の特徴は掴んでいるなと感じました。ウォータールー大学が「オススメ」されていないのはかなり頂けませんが(笑):http://www.bnwjp.com/school/university/index.html
大川翔という人のブログでも、カナダの大学の入学難易度について触れています。彼がその記事を書いたのは16歳時点(すでに大学2年生だったみたいですが)なので、より高校生に近い目線かもしれません:http://canada7.blog.fc2.com/blog-entry-591.html
本当ならもっと具体的にアドバイスしたいですが、キリがなくなってしまうのでここら辺で。
目を通してくれてありがとうございます。何か質問や考えがあればコメントをどうぞ!